YAKYUJO.comが普段からお世話になっていたlivedoor社が運営する
野球関連ブログのポータルサイト「Baseball Journal」が
4月いっぱいでサービス終了となることを受け
2012年11月に行っていただいたYAKYUJO.comに
関するインタビュー記事をここに転載させていただきます。
(以下本編)
野球ファンなら一度見たら忘れられないでしょう。YAKYUJO.comさんは、野球場の平面図を専門にアップしているサイト。形状だけでなく、芝の生え方や土の状態まで、精細に描き分けています。
まるで宝石のように美しいYAKYUJO.comさんの野球場コレクション。こんなサイトを作っているのは、いったいどんな人なのか。迫ってみました。
YAKYUJO.comさんのお仕事は?
グラフィックデザイナーです。都内のデザインプロダクションに勤務して、主に広告関係のデザインの仕事をしています。もう10年選手ですね。
なるほど、やっぱりプロのデザイナーさんですか。でも、どうして野球場の平面図をイラストにしようと思ったのですか。
もともと私は野球のユニフォームデザインに興味がありこれをグラフィカルにまとめてみたいと思っていました。しかしこの分野には、偉大な先人である綱島理友氏がおられます。そこで、ユニフォームではない野球に関する個性があるデザインは他になにがあるか考えて、野球場のデザインをまとめてみようと思いつきました。
ユニフォームデザインは綱島氏が積極的に情報発信したことで、今では野球文化の一つだとしっかり認識されています。同じように、野球場の形やデザインも野球文化だし、しっかりとアーカイブ化していけば歴史的な資料にもなるのではと思いました。
またアメリカには、アンドリュー・クレムという方がいて、アメリカの新旧のスタジアムのイラストを描いて比較をしています。彼のスタジアムへのこだわりにも大きな刺激を受けましたね。
どんな情報をベースに描いているのですか?
オープンエアの野球場の場合、衛星写真や航空写真を参考にしています。最近は高解像度のものがネットなどに多く出回っているので形状などはこれをもとにトレースしています。
でも、ドーム球場は上からではわからないですから大変ですね。データを調べるとともに、スタジアムの座席表やフロアマップなどを参考にしています。
とはいっても、座席表などに載っているグラウンドのイラストの多くは図面として不正確です。最終的には試合の映像を見たり、実際の野球場に行って、グラウンドレベルで写真を撮ってそこから形状を割り出すこともしています。
正規の図面を手に入れることは、私の立場では事実上不可能ですから、いろいろな情報を集めて割り出していますね。そうして調べることも、楽しみの一つではありますが。
細かな部分まで、違いを描き分けていますよね。
人工芝と天然芝の違いとか、芝目とかできるだけ描き分けるようにしています。「国内の天然芝」、「外国の天然芝」「地方球場の天然芝」の色の違いも描き分けています。あくまで主観的なイメージですけどね。甲子園球場の黒土をはじめ、アンツーカーも実際のものに近い色になるようにしています。
ひとつの野球場を描きあげるのに、どれくらいかかるのですか?
会社から帰って家で書いているのですが、資料集めや下調べが完了していれば1時間くらいで描きあげることができます。資料集めが主で制作自体にはそんなに時間はかからないですね。ただスタジアムの風景を思い浮かべたり、資料を見たりして楽しみながらマイペースで描いていますよ。
これまで、どれくらい手がけたのですか?
今年の5月からスタートしたのですが、発表済みが約30か所。とりあえず、すでにアップが完了しているNPBの12球団に加え、MLBの30球団のホームグラウンドはすべて抑えようと思っています。
あとは、今はない昔の野球場や世界各国の野球場も描いていきたいので、当面は50から60か所くらいが目標なんですが、地球上にある全ての野球場が題材となるので最終目標はいくつになるのか想像もつきませんね。
(ここまで前編、以下後編へつづく)
YAKYUJO.comを運営する管理人さんインタビュー後編。ここでは、野球場の好みからブログ更新時のこだわり、そして、サイトの今後についてうかがっています。
YAKYUJO.comさんがお気に入りの野球場はどこですか?
野球場は、それぞれに特徴や魅力がありますがNPBで強いてあげるならば、QVC マリンフィールドでしょうか。
実際に行ったことがある方はわかると思うんですがQVC マリンフィールドは、周囲を高い壁が取り囲んでいるので、場内に入るとそこにはスタジアムと空しかない空間なんです。オープンエアなのにまわりにビルなどの余計な要素がなくゲームに対する集中力がぐっと高まる感じで、いいですね。
でも、都会のビル群のどまんなかにある明治神宮野球場や横浜スタジアムなど、昔ながらで、どこか昭和のにおいを残している野球場もそれはそれで大好きなんですけどね。
あとはMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島。広島に住んでいる親戚を訪ねるのもかねて年に一度は行きます。この野球場はNPB 本拠地で唯一左右比対称の形をしています。たとえその違いが左翼と右翼で1m だけだったとしてもそのチャレンジを評価したいです。
日本の野球場はドーム球場が多くて個性がないという方もいらっしゃると思います。ただ、日本は雨が多いし、興行的に考えてもドーム球場が増えるのはある程度致し方ないと思うんです。そんな中、福岡 Yahoo! JAPAN ドームのグラデーションの外野フェンスなんか、好き嫌いで意見が分かれるとは思いますが、個性を出すのはいいことだと思いますね。
アメリカの野球場は全てにおいて個性的でどれも大好きです。ドジャー・スタジアムなんかはアメリカでは逆に珍しい左右対称ですが、それすら個性になってしまっているのがおもしろいですね。
ヤンキー・スタジアムは、旧球場(2008年)と新球場の両方を紹介しています。描いていて魅力的でしたね。YAKYUJO.comでは図形を重ねて野球場を比較できるようにしているのですが、右翼やファウルゾーンなど大幅に形が変わっていることにも気が付きます。
野球場の形状を比較できる機能は、他のサイトにはないYAKYUJO.comのおもしろいポイントだと思います。重ねることで、野球場の個性や、特徴がくっきりと浮かび上がってきますよ。
今は無いクラシックな野球場にもいいものがたくさんありますよね。
そうですね。ただ、そういった魅力的な昔の球場は役目を終えて姿を消していってしまいました。後楽園、藤井寺、日生、大阪球場そして、ついには広島市民球場も。私は名古屋の出身なのですが、そんな中では私が幼い頃に通ったナゴヤ球場は健在です。今では二軍の練習場になっていて当時と姿も大きく変わってしまいましたが、存在しているという事実、これは幸せなことだと思っています。
YAKYUJO.com では当時の記憶もたどりながら描いた1996 年のナゴヤ球場をアップしていますよ。過去には、野球場は都市部に建設されることが多かったのですが、近年は郊外に建て替えられるケースが増えました。郊外に建てることが、結果として客足を遠のかせる一因となっているとすれば、様々な問題もありますが今後は再び都市部に野球場が建設される日があるかもしれません。
注目しているのが巨人の東京ドームの次の本拠地。話自体は噂の範疇を超えていませんが、築地市場跡やお台場などが候補地としてあり、今後の展開が非常に楽しみですね。
野球場のブログを掲載するときに、どんなことに気を付けていますか?
ニュース性は大事にしています。今年のオールスターゲームが開かれた坊っちゃんスタジアムと岩手県営野球場。同じくMLB オールスターゲームが開かれたカウフマン・スタジアム。イチローの移籍が決まった時は惜別の意味も込めてセーフコ・フィールドを掲載しました。
今年、IBAF 女子野球ワールドカップが開催されましたが、この舞台となったカナダのテラス・フィールドも紹介しました。
今年のワールドシリーズが行われたサンフランシスコ・ジャイアンツのAT&Tパークとデトロイト・タイガースのコメリカ・パークも掲載されていますね。
来年開催されるWBC の準決勝と決勝もAT&T パークです。アメリカで行なわれる第1ラウンドD 組はチェイス・フィールド、第2 ラウンド2 組はマーリンズ・パーク。すでに紹介した球場もありますが、WBC 関連の野球場はタイミングよく取り上げていこうと思います。
WBCの予選はもう始まっていて、すでにスペインとカナダが勝ち抜いています。スペインが入った予選1組はロジャー・ディーン・スタジアム、カナダが入った予選2組はドイツのレーゲンスブルクのアーミン・ウルフ・アリーナで予選が行われましたが、ドイツ以外のヨーロッパにもイタリアなどに良い野球場があるんですよ。それらも紹介していきたいですね。
野球場は毎年のように改修されます。データも変わりますね。
スペックの変更は気になりますね。フィールドシートが設置されることによるファールゾーンの形状の変化とかはもちろん。毎年かわっていくであろう芝目のデザインも気になりますね。そういった短期的な変化に気をくばりながら最終的に5 年10 年でどのように野球場のトレンドが変わっていったかも見ていきたいとは思います。
YAKYUJO.comは、これからどのように進化するのでしょうか?
YAKYUJO.comでは、各野球場の本塁打の出やすさを比較したパークファクターも紹介しているのですが、本塁打パークファクターというのはフェンスの高さのデータなども加えないと正確な比較はできないと思うんです。なので、いずれはグラウンドだけでなくフェンスの高さや形状はもちろん、スタンドや外観も含めた野球場全体のデザインを3D 的に描いていきたいという野望はあります。ただこれは技術的にもデータ収集的にも大変なことなので今後の大きな課題ですね。
いずれにせよ、野球場のポータルサイト的な存在になれるよう、掲載内容をもっと充実させていきたいと考えています。これからも、単なるファンではなく、野球と深いところでかかわっていきたいと思いますね。
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The Linux based system comes with its won web development module in some versions of Red
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